鎖骨下動脈盗血症候群(Subclavian Steal Syndrome)

おはようございます、

 

トウイーです。

 

今回は、神経内科疾患の鎖骨下動脈盗血症候群について、お話します。

 

鎖骨下動脈盗血症候群(Subclavian Steal Syndrome)とは、

腕と頭に向かう動脈(鎖骨下動脈)の付け根が狭くなり、本来脳へ行くべき血流の一部が腕に流れてしまうこと脳への血流が不十分になってしまう病気です、本来脳へ行くはずの血液の一部が腕に「盗まれてしまう」ために「盗血症候群」という名前がついました。血管の狭くなった状態を補うべく、脳へいく反対側の血管が血液を一部を割いて補充するため、脳への血流が減ってしまいます。左鎖骨下動脈という血管が狭くなると起こりやすいです。

鎖骨下動脈の起始部が閉塞すると、反対側の椎骨動脈から閉塞した末梢側に血液が逆流し、脳血流が減少します、閉塞側の上肢を動かすと、めまい・失神、視力障害が誘発されます。また、上肢・下肢に血流が届かなくなり(脈なし病)、手足が冷たく、しびれたりします。動脈硬化のない若い女性では、自己免疫性甲状腺疾患(橋本病・バセドウ病)に合併する大動脈炎症候群(脈なし病、高安動脈炎)の可能性あります。

 

患者さんの特徴: ①筋力が弱くなったと訴える。 ②腕の血圧の左右差がある。 ③左腕を動かした時の失神、めまいがあります。

その他; 20-30mmHgの差があると所見として認められることがあるが稀。 しかし右140/70、左90/45など50 mmHgの差があると38.5%が症候性となります。 狭窄を認める内の5.3%が神経症状を認めます。 後天性では82.3%が左側、右:左=1:4 先天性では右に大動脈弓がある場合や動脈奇形による。

 

メカニズム :

①左腕を動かした場合、増加した筋の運動に順応するために血液が必要になる。 →冒頭の車のハンドルを右にきると左腕が心臓よりも上に挙がるので右腕よりも血液が多く必要です。

②左椎骨動脈が閉塞しているので、右椎骨動脈から左鎖骨下動脈へ迂回します。

③椎骨動脈から上に血流が行かないので、脳幹への血流が減少(虚血)します。

④脳幹にある前庭神経核の虚血によるめまいが起こります。

 

狭窄を来す主な原因は、動脈硬化によるもので、高血圧症、糖尿病、高脂血症、肥満などの生活習慣病が動脈硬化を引き起こすことが多いと考えら得ています。その他の原因として、大動脈炎症候群、放射線治療後、外傷などのよる動脈解離、加齢などが考えられます。

 

治療の検討に必要な検査:

造影CT、MRI、脳血管撮影、脳血流検査(SPECT)、心臓超音波検査、呼吸機能検査、高次機能検査です。

 

治療の目的:

治療の目的は上述のめまい、失神発作、上肢の症状を改善させること、脳梗塞を予防することです。

 

治療の方法:

主に動脈硬化に準じます。抗血小板薬(こうけっしょうばんやく)、抗凝固薬(こうぎょうこやく)、血栓溶解薬(けっせんようかいやく)、抗トロンビン薬などを使用します。

栄養療法としては、高濃度ビタミンC・B6・B12点滴治療+コエンザイムQ10(不眠や消化不良などの軽度な副作用が起こる可能性があり、抗凝固薬(抗血栓薬)ワルファリンや糖尿病薬インスリンと相互作用を起こす可能性もあり、いくつかの種類のがん治療薬と適合しない可能性もあります。)

食事改善は炭水化物を控えて(ご飯は自分の拳と同じぐらい。)、食物繊維(特に水溶性)とオメガ3系脂肪酸(EPA、DHA)を多めに摂食することがおすすめです。

症状が重篤の場合、手術が必要です。全身麻酔下に血管内治療を行います。右(または左)大腿部からカテーテルを挿入し、狭窄部を風船やステントで拡張します。

BEFORE。 AFTER。

 

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